メロディー・バイ・コントラバスについて

コントラバスによる旋律。こうお断りして書かないといったい何という楽器で演奏しているのかわからない方もいらっしゃるのではないかと思ったのです。コントラバスを担いで歩いていても「大きなヴァイオリンねえ」あるいは「大変だね。何それ?」という具合に、一般的にはほとんどコントラバスという楽器は認知されていません。実際音楽業界でもコントラバスは伴奏楽器という認識です。まあ当然ですが。
今回は「もとよりこれはベースの為に書かれているのではないか?」という疑いがある?楽曲を私の独断で集めてこのような音楽にしてみました。このCDはいわば私の個人的な趣味です。どうぞご理解を。

8/25/2010
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曲の解説

1. Holidays (Michel Polnareff)

浅川太平がこのアルバムに提案した曲。私の学生時代にヒットした曲はそれを歌うポルナレフの容貌のほうに気をとられ、まさか演奏するとは思わなかった。
簡潔な印象的なメロディでベース向きだと思う。若い浅川が知っていたのは歌手であるお母上の影響かな。ピアノのアドリブは3度上に転調。

2.She’s Leaving Home (Lennon/ McCartney)

ビートルズのアルバム、サージェントペパーに収録されているこの曲はポールが作曲。彼はそのアレンジをジョージ・マーティンに頼んだところ多忙を理由に断られ腹を立て別のアレンジャーを起用。ビートルズのメンバーは演奏に加わっておらずコーラスのみ。ポールは出来上がった曲を弦楽アレンジですぐに試したかったようです。世界で最も成功したバンドは秒単位の決断を繰り返していたのだろうと思います。

3.創世のエレジー (Taihei Asakawa)

浅川作品の中では異色の和風メロディ。私はこういった和風演歌調がとても好きです。私の弾いているメロディ部分は和風ではありませんが。
ちなみに作曲者はチベット僧の声明からこの曲のヒントを得たそうです。

4. Romance del Diablo (Astor Piazzolla)

ピアソラ曲の中で私が最も好きな曲。形式はミロンガというそうです。ピアソラの演奏を聴いたときは頭の芯がしびれた。当時のピアソラのバンドも最高です。
タイトルにあるロマンスの意味は恋愛ではなく吟遊詩人のつたえる物語歌だそうです。代わる代わる現れる旋律は二人の対話のように進行する。こういった進行は私の好みです。
蛇足ですがB-HOT CREATIONSの「終曲はこの曲からヒントを得ました。

5.Romeo and Juliet (Nino Rota)

浅川が用意した曲。アレンジも浅川。イタリア映画。オリビア・ハッセーですね。懐かしい。
シェイクスピアのお話はみなさんご存知でしょうがこんなひどい話もないなあ。悲しすぎる。
使用したのはクラヴィコード。シェイクスピアの時代を想像しつつ、クラヴィコードと教会はハマりすぎだ。なんてことを思いながら演奏しました。

6. 風紋 (Masahiko Satoh)

佐藤允彦さんの楽想は幅広く作曲数は莫大です。この曲は2種類の音階の指定があります。でも佐藤さんは「自由でいいとおっしゃいます。
ムードがあってイメージが広がります。即興演奏にはもってこいの曲だと思います。コントラCをダビングしています。

7.Song of Nenna (Fumio Yasuda)

安田芙充央さんは海外でより評価され且つ活躍されている素晴らしい作曲家です。ジャズピアノを弾かせても強力です。
この曲は特にベース指定ではありません。しかし私はまるでベースのために書かれているのではないかと感じた曲です。
NENNAとは?

8. Andante from Flute Sonata OP.1 No9 (Hendel)

コントラバス用に編曲しました。本当はAABBという形式ですが繰り返し部分をクラヴィコードのアドリブとしました。
私は半音で上昇するメロディが面白いと思いましたよ。ヘンデルさん。

9.暮雪 (Masahiko Satoh)

英題はEvening Snow。きれいな日本的なメロディです。ベースにはこういったメロディも合うと思います。Bb、Gという2つの調で代わる代わる演奏します。
原曲は華やかなハーモニーがつけられていますのでそちらも聴いてみられるとおもしろいと思います。

10.Song of Lydia (Fumio Yasuda)

2つ目の安田作品はリディアンというスケールをもとに書かれています。美しい作品です。原曲はチェロとアコーディオンです。
「日輪」では太田朱美と田中信正で演奏しました。

11.Crescent Noon (Richard Carpenter)

カレン・カーペンターの隠れファンである私はこのB面的歌曲が大好きです。アルバム:Close To Youにあります。当時カレンは19歳。

12.Greensleeves (Traditional 16thCentuly English Melody)

歌にでてくるレイディ・グリーン・スリーヴスは、おそらく娼婦ということです。彼女の袖(スリーヴ)の色が緑であることは、恋人との情事が草のなかで行われ、草の色が染みついたからだそうです。
Dmで演奏していますがサビのメロディをBかBbにするかどうかで色々悩みましたが今回はBで。

13.The Fool On The Hill (Lennon/McCartney)

これはマジカル・ミステリー・ツアーの中の一曲。原曲はリコーダーが印象的。短調長調がいったりきたりで面白い曲です。
ビートルズはこういう曲が多く楽しい。詞も哲学的で面白い。
このアイディアは札幌で豊口健(ピアノ)と演奏した時のものです。ベース用にアレンジし直しました。

14.True One (Taihei Asakawa)

浅川が「加藤さんへ」というタイトルでこのアルバムのために書いた曲。
「加藤さんへ」は、あんまりなのでライブで曲名を募集したところ、お客さんからこのタイトルが返ってきた。真一の直訳。

15.Le Nozze Di Figaro, Act 2 - Voi, Che Sapete (Mozart)

昔からこの曲が好きです。何故だかわからないのですが。
女性歌手が歌うものと思い込んでいたら劇中では男の歌なのですね。
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共演の浅川太平について

2003年ころ一杯ひっかけて帰ろうと、とあるジャムセッションを覘いたとき、場違いなほど美しいピアノの音を耳にし、それ以来共演を重ねてきました。
今回は私の独断による企画ですからずいぶん彼には無理強いをしましたが、録音場所に修道院を紹介してくれたうえクラヴィコードを使用するアイディア、アレンジを含めよく応えてくれました。
詳しくは彼のHPをご覧ください。
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クラヴィコードについて(ノート:浅川太平)

クラヴィコードという名称は、ラテン語のclavis(鍵)とchorda(弦)に由来し、ピアノの前身ともいわれる。
おもに17~18世紀にヨーロッパ全土で愛用され、演奏の練習や作曲の際に頻繁に用いられていた。
鍵盤を押すと、鍵の反対側が上がり、そこに取り付けられたタンジェントとよばれる真鍮の小さな金属片が弦を下から打つことで音が出る、というシンプルな構造。
鍵盤を押す微妙な力加減によって音量の調節ができ、強く押すことで音程も上がるため、極めて繊細なタッチを必要とする。
微かな響きの中にさまざまな表現力をもちあわせた類稀な鍵盤楽器である。
今回の楽器は、18世紀のドイツの楽器製作家フーベルトのクラヴィコードをもとに山野辺暁彦氏が製作した共有弦タイプのもので、現代のオーケストラピッチ(al=440hz)より半音低いバロックピッチ(al=415hz)となっている。
コントラバスはオーケストラピッチである為、即興にはクラヴィコードでは半音高く反応する必要があったので、自分の絶対音感を相対化させる貴重な経験となった。
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